生誕120周年記念イベント 「近衞秀麿 再発見」
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生誕120周年記念「近衞秀麿 再発見」終了のご報告
2018年7月、NHK交響楽団の前身である新交響楽団を結成し日本人として初めてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を正式に指揮した近衞秀麿(1898~1973)の生誕120周年を記念するイベント「近衞秀麿 再発見」を、明治学院大学にて行いました。7月28日には、さまざまな専門を持つ研究者、批評家、音楽家によるシンポジウム(登壇者:岩野裕一、近衞一、三枝まり、楢崎洋子、西原稔、藤田由之、水谷川忠俊)およびトーク・コンサート(出演:水谷川優子、マーク=ゴトーニ、黒田亜樹)を開催して音楽家 近衞秀麿が果たした役割を検証し、また会場の一部を使って行った資料展示では自筆譜、楽器、指揮棒、収集品などから秀麿の人間像を浮かび上がらせました。また、それに先立ち7月23日から28日まで行いましたパネル展では、近衞秀麿の編曲、海外における演奏活動、日本の洋楽史における位置づけなど、音楽的業績の一端を紹介しました。
シンポジウムは、全体を第1部の個別テーマ「近衞秀麿の人と仕事」、第2部のクロストーク「近衞秀麿の編曲 ― 音・楽譜・証言」に分け、足跡を辿り、近衞秀麿の音楽の世界に迫りました。また、近衞秀麿の音楽活動への理解を深めるためにトーク・コンサートでは、近衞秀麿の作曲作品(歌曲《忘れた蓑》《烏の手紙》《ちんちん千鳥》、昭和天皇の即位に際して書かれたカンタータ《大礼交声曲》)をヴァイオリン、チェロ、ピアノで演奏したほか、秀麿にゆかりのある作曲家(シベリウス、R.シュトラウス、ドヴォルザーク)の作品を取りあげました。
当日は、猛烈な台風の接近によりおいでになれなかったお客様もいらっしゃいましたが、私どもの予想を超える大変多くのお客様にご来場いただきました。またイベントの終了時間を早めるために、全体的に内容を圧縮いたしましたが、「大変勉強になりました」「興味深かった」「このような企画をまた開催してほしい」などのお声もいただき、主催者一同感謝しております。
今回は、資料展示、パネル展示、シンポジウム、トーク・コンサートと、多面的に音楽家の軌跡を追うことができ、また近衞音楽研究所所蔵の一次資料を一般に公開できる機会としても非常に意義あるものとなりました。開催にご協力いただきましたすべての皆様に、心から感謝申し上げます。
会期:2018年7月28日(土)午後1時~4時(シンポジウム、コンサート)
2018年7月23日(月)〜28日(土)(パネル展示)
場所:明治学院大学白金キャンパスアートホール(シンポジウム、コンサート)
明治学院大学白金キャンパス パレットゾーン(パネル展示)
主催:明治学院大学文学部芸術学科・文語言語文化研究所、近衞音楽研究所
共催:日本音楽学会東日本支部、日本アルバン・ベルク協会
助成:アサヒグループ芸術文化財団、公益財団法人ロームミュージックファンデーション
本企画は、JSPS科研費JP18K12508の助成を受けたものです。
■シンポジウム
モデレーター:岡部 真一郎(明治学院大学文学部芸術学科教授)
【第1部 個別テーマ「近衞秀麿の人と仕事」】
「近衞秀麿の生涯と音楽活動」三枝まり(小田原短期大学特任講師)
「欧米における近衛秀麿の活動」近衞 一(近衞音楽研究所所長)
「近衞秀麿編曲『越天楽』(1931)― 近衞の作曲活動を方向付けたもの」楢崎洋子(武蔵野音楽大学教授)
「近衞秀麿の創作-声楽作品を中心に」西原 稔(桐朋学園大学教授)
【第2部 クロストーク「近衞秀麿の編曲 ― 音・楽譜・証言」
参加者:岩野裕一(編集者・音楽ジャーナリスト)、近衞 一、三枝まり、楢崎洋子、西原 稔、藤田由之(指揮者・音楽評論家)、水谷川忠俊(近衞音楽研究所)
■トークコンサート
出演:マーク・ゴトーニ(ヴァイオリン)水谷川優子(チェロ)、黒田亜樹(ピアノ)
I. 近衞秀麿と親交のあった作曲家たち
シベリウス:《5つの小品 作品81》より第2曲〈ロンディーノ〉(vn, pf)
《4つの小品 作品78》より第2曲〈ロマンス〉(vn, pf)
R.シュトラウス:《ロマンス AV75 へ長調》(抜粋)(vc, pf)
ドヴォルザーク:《ピアノ三重奏曲第4番 ドゥムキー》より第5楽章アレグロ(vn, vc, pf)(アンコール)
II. 近衞秀麿の演奏スタイルと指導
シューマン:《子供の情景 作品15》より〈トロイメライ〉(vc, pf)
III. 近衞秀麿の作品
近衞秀麿:《忘れた蓑》(vn, vc, pf. 原曲は歌、ピアノ)
近衞秀麿:《烏の手紙》(vn, vc, pf. 原曲は歌、ピアノ)
近衞秀麿:《ちんちん千鳥》(vn, vc. 原曲は歌、ピアノ)
近衞秀麿(水谷川忠俊編曲):《大礼交声曲》より第4楽章 (vn, vc, pf. 原曲は独唱、合唱、オーケストラ)
■パネル展示
「日本のオーケストラ黎明期の近衞秀麿」
「近衞秀麿《大礼交声曲》」
「ムソルグスキー《展覧会の絵》(ラヴェル版と近衞版)」
「日本の音楽を海外に紹介する」
「海外での活躍ぶり ― 著名な音楽家との交流」
「近衞秀麿とベートーヴェン」